高齢化社会の進行にともない、「多死社会」の到来も指摘されるようになっています。
つまり、介護・支援を必要とする高齢者が増えるだけでなく、多くの高齢者が亡くなる時代にさしかかっているのです。
その影響をもっとも受けるのは介護施設といえるでしょう。
この多死社会において介護施設では利用者の「死」を意識しつつ日々介護サービスを提供していくことが求められるようになっているのです。
これまで人が死ぬ場所と言えば自宅か病院でした。
しかし、現在では長い間介護施設でサービスを受け続けた後に介護施設で亡くなるという選択肢もあります。
とくに深刻な病気を抱えているわけではなく、いわゆる「老衰」でなくなる場合、病院よりも介護施設のほうが最期を迎える場所として相応しいともいえるわけです。
そのため、介護施設ではこの「最期の時を迎える場所」として相応しい環境づくりが求められるようになっています。
介護職による看取り介護はその一貫なのです。
看取り介護と言えばターミナルケア(終末期医療)を連想する方もいらっしゃるでしょう。
このターミナルケアの場合、その名前からもわかるように患者が病気が原因で死期を迎えている時に相応しいケア・治療を行うことです。
さらに、緩和ケアは命に関わる健康上の問題を抱えている人に対してその苦痛を和らげるためのケア・治療を行うことを指します。
これらに対して看取り看護とは先述したように健康上の深刻な問題を抱えておらず、身体的な苦痛もあまり感じていない方を対象に「最後まで日常生活のサポートを行うこと」を前提としているものです。
医療などの専門的な知識よりも精神的なケアが重視されるため、介護スタッフひとりひとりの心構えが求められるともいえるでしょう。